HIV
ヒト免疫不全ウイルスのことをいいます。人の体を様々な細菌、カビやウイルスなどの病 原体から守るのに重要な細胞である、T リンパ球やマクロファージなどに感染し自己免疫 機能を低下させてしまうウイルスです。
HIV に感染し、自己免疫が低下しさまざまな病気にかかりやすくなってしまっている状態をAIDS(エイズ)と呼びます。HIV は性的感染、血液感染、母子感染の3つが主な感染経路になっていることが分かっています。
性的感染では性行為は勿論のこと、オーラルセックスでも感染する可能性があります。血液感染では輸血、注射器や注射針の使いまわしが原因で感染者の血液が他の人の血管に侵入することで感染する可能性があります。但し、輸血においては日本赤十字社が厳格な HIV 検査を行っているため感染の可能性は極めて低くなっています。母子感染は出産時の産道感染、母乳哺育による感染、胎内感染があげられます。
AIDS を発症してから HIV に感染していたことが分かる例が HIV 感染者の3割に及びます。AIDS 発症前の症状が出ていない無症候期の間に HIV 感染を知ることができれば最適 な時期に治療を開始することができますので、定期的な医療機関受診検査をお勧めしま す。現在の医療では HIV ウイルスを完全に体内から排除できる治療法はありませんが、抗 HIV 薬によって AIDS の発症を防ぐことで長期間にわたり健常時と変わらない生活を送ることができ、HIV ウイルスに感染していない人と変わらないくらいの寿命が期待できま す。
抗HIV薬は飲み続けることが重要で、一旦治療を開始したら特別な場合を除き治療を継続する必要があります。